おい、寅! 兵頭
私が知的障害のある次男を呼ぶときに、よく「おい、寅!」と声をかける。寅とは、邦画「男はつらいよ」の渥美清の演じる車寅次郎の寅である。
彼が亡くなって5年位と思いきや、20数年が経っているとは思ってもみなかった。と言うのも、毎週土曜日の夜のBSで彼の生前の姿をよく見ているからであろう。
洋画一辺倒の私が邦画を見るのはこの映画だけであり、自然関係のドキュメンタリー以外のテレビ自体見ない・見たくない私は、「男はつらいよ」だけは別で、再放送だろうが再々放送だろうが、好んで観ている。彼のあの、昔はどこにでもいた様で懐かしく、純粋で粋で人情厚くやさしい、それでもって包容力と男気があり女性に弱い、あの独特のキャラクターは、大きな自然の中にいるようなやすらぎを観る人に与えてくれる。いきり立った様な情報が多い中で、彼のニタッとした笑顔が苛立った気持ちを癒してくれる。
そんな寅さんが私の次男とどこが似ているのか。いやそうではない。寅さんは次男を包み込んでくれるだろうし、次男も寅さんを好くだろう。そんな関係からだろう。私は次男を「おい、寅!」と時々呼んでいる。
投稿日:2019/09/19 投稿者:-