最近は新型コロナウィルスのニュースばかりで、唯一のスポーツ中継だった無観客で行われた大相撲も終わった今週からは、スポーツ好きは一人で戸外を走り回るか、山でも歩き回るしか無いのか。
そんな不満が世界中で鬱積している今日この頃であるが、私は夜風呂に入りながら今日の新聞を斜め読みしていた。しばらくして愛媛新聞17面の「てかがみ」欄を読んでプッと吹いてしまった。投稿は松山市西本朋美さんからのもので、全文ここに写させて頂く。題は「生まれ変わったら」。
[「生まれ変わったら何になりたい?」「えっと、お姫様」。幼稚園の時にこんな会話をしたのを覚えている。
卒園式の日、私の祖父が亡くなった。お通夜の時、部屋中にジャグジ(カメムシ)が大量発生したらしい。どうやら、じいちゃんはジャグジに生まれ変わったようだ。それ以来、ジャグジのことを「じいちゃん」と呼んでいる。
じいちゃんは事あるごとに姿を見せてくれる。夏休み、ばあちゃんちに遊びに行くと部屋の隅にじいちゃんがいた。初めて車を買い、3時間近くをかけて遊びに行った帰り、じいちゃんが松山までついてきた。いとこが家を建て内覧する日、じいちゃんは玄関先で出迎えてくれた。そして、私が34年間育った家を出る日、朝起きるとカーテンにじいちゃんがいた。
今年の2月のよく晴れた日、まだ生まれ変わってはいないが、私は一日だけお姫様になれた。でも、じいちゃんは出てきてくれなかった。魔法がとけそうな式の終わり際「あれ、変な臭いがする」と言う声に、親戚一同じいちゃんを探したが、見当たらなかったそうだ。やっぱり出てきてくれたんだね。
生まれ変わったら私もジャグジでもいいかな。]
初めは吹きだすが、最後にジィーンとくる名文でした。こんな孫がいるのなら、皆に嫌われるジャグジに生まれ変わってもじいちゃんは本望だろうな。
私も時々こんな風に父を思い出す。私の場合は蝶の場合が多いのだが、たまに部屋の壁に留まっている小さな虫などがそんな風に見える場合は、そのままにして置き、その内いなくなるのを待っている。蚊やハエがそう見える事はまずないのだが、万一そうだといけないので網戸を開けて外へと誘導して空へ放ってやる。
でも、自分自身が生まれ変わったら何になるだろう、とか何になりたいとかは考えたことはないのだが。