夏の感謝

 夏限定品と言えば、かき氷や限定ビール、オープンシャツや短パン等の避暑商品が多いが、私の避暑行為は変わっている。

 夏でも車よりはバイク、バイクよりは自転車、自転車よりは徒歩を心掛けている私は、他人から見るとちょっと奇妙な行動を取る。日差しを避けて歩くには、建物の陰や木陰を通るのは一般的で、歩行者としてこの陰は本当に有難いものであるが、それらが無い場合はどうするか。私は電柱を探す。電柱の作る陰に身を隠すのであるが、陰を体の中心に入れると、どうしても両肩辺りは陰から出てしまい、中心と両サイドの体感温度がだいぶ違うがそれでも電柱は有難い。日頃は電柱の地中化を地域美観の観点から賛同していても、夏ばかりは美観よりも生き死に問題である。電柱の陰が道路に斜めに伸びている場合は道路を斜めに横断する奇行も良くする。

 徒歩や自転車はもとよりバイク乗車の場合も信号待ちをする場合は陰を探す。建物や木陰、電柱陰があれば、前方の信号が赤の場合、信号までに陰が無ければ、信号の数十m手前でも陰を見つければそこに左ウインカーを点滅させて路肩に停車し直射日光を避ける。そして青信号になる5秒ほど前に右ウインカーを点滅させて発信し、後続に並ぶようにしている。電柱には本当に感謝している。

 この様な努力をしても汗かきの私は朝晩2度と昼間2度の計4度ほどは下着を替える。汗が冷えた時に風邪に掛かる事が他人よりどうも多いので、会社にはもとより行先には下着の替えを持参するようにしている。もし替えの下着が無い場合はどうするか。今まで失敗を重ねてたどり着いた結論は、まず濡れた下着を前後反対(裏表反対では効果は薄い)にする。背中部分が濡れたままの場合は風邪をひくが、胸側に汗で濡れた面を持っていき、背中側に乾いている面を持っていくと大丈夫である。濡れた前面側の下着はその内に乾いてくる。

 これでもダメな場合は、新聞等の紙類を汗をかいた肌と濡れたシャツの間にいれる。ゴワゴワかさ張る場合もあるが、風邪をひくよりましである。エアコンが発達した社会には私のような体質のものには、夏を乗り切るための必須の裏技である。沢山の下着を洗濯をしてくれる妻には感謝している。

 夏は蚊のシーズンでもあるが、私は寝込みに耳元で羽音をたてられて起こされる以外は、蚊は嫌いではない。刺されれば人なりに痒いのであるが、これは幸せの前兆として捉える。刺された場所を固い尖ったもので掻いてそこにキンカンを塗れば、地獄から天国の幸福感が一瞬で味わえる。刺されて良かったと。

 また、動植物や昆虫に無益な殺生が法律上・道義上禁止あるいは慎まれている現代において、手軽にハンティングが楽しめ、表立って殺虫行為が許され、賞賛される対象は、ゴキブリと蚊くらいのものであり、別の意味で希少昆虫である。人間の野生的本能を微かに残してくれている蚊に感謝する。

 最後に私の夏限定の楽しみである。昨年から始めた、海でのスイミング。プールと違って、野趣満点である。昨日なんかは海も比較的澄んでいて、水中メガネごしの眼下には何匹もの大きな鯛や中小の小魚が群れている。それは野生動物が沢山いる野山を海と例えてジョギングしているようである。

 この海中ジョギングは海岸沿いの水深2~3m位の処を1.5kmほどクロール、平泳ぎ、背泳で海中の様子を観ながら気ままに泳ぐのである。管理されていない自己責任の世界は小さくても胸躍るものである。自然に感謝である。-兵頭-

投稿日:2020/08/24   投稿者:-