私がキャンピングカーを持ってから10年程経つ。このキャンピングカーは中古で買ったキャブコン(トラックベース)と言う分類のもので、バンテック(キャンピングカーメーカー)がトヨタのカムロードをベースにキャンピングカーに仕立てたものである。設備は大人4人あるいは子供を加えたら6人くらいは楽に眠れる寝台(仮眠ではなく、普通に横になれる)と冷蔵庫・ガスファンヒーター・二口コンロ・シャワー・トイレが標準設備で付いている。私はこれにテレビ・DVDデッキ・電子レンジ・トースター・扇風機を後付けした。(この後付け分は電気を食いすぎるので、結局満足に使えなかった。現在は電気製品は標準品も後付け品もすべて使えない。)
宿泊するのはホテルの方がいいじゃないか、という考えもある。ホテルの方が快適に決まっているが、しょせん他人の家であるので、気を使う。その点、キャンピングカーは多少の不便はあるにしろ、自分の家であり家族なら気兼ねは要らない。仕事が終わった後、荷造りもせずこの数日間分の各自必要な物を車に放り込み、高速道路のサービスエリア内で、その晩の食事と就寝をし、翌早朝に目的地に寝起きのままのパジャマで出発する。他の者はまだ寝たまま、こんな気ままな旅が出来るのである。
もっと重要な点がある。それは、子供らを含めて各自が作業を分担することによる「旅の手作り感」を共有できることである。将来、何処で何を見て何を食べたかなんて忘れていても、あのころ一緒に動き回ったという暖かい記憶と連帯感が残るはずである。
このキャンピングカーで当初の4年間で行った所は北から、新潟(長岡)、長野(長野・軽井沢・志賀高原・更埴)、群馬(北軽井沢・草津)、福島(会津・小名浜)、東京(築地・武道館)、神奈川(横浜・湘南・箱根)、富山(黒部)、岐阜(白川郷・乗鞍・飛騨高山)、京都(市内・吉野)、大阪(海遊館)三重(伊勢・志摩)、兵庫(神戸・姫路)、鳥取(大山・砂丘・境港)、広島(宮島)、山口(角島・萩・津和野)、福岡(福岡市内・大宰府)、長崎(ハウステンボス)、大分(別府)、熊本(阿蘇)、高知(木乃香温泉)及び愛媛県内(明浜・石鎚山・愛南・伯方島・大三島・大野ヶ原・翠波高原・塩塚高原)。
この様に、大学生の長男以外の家族5人で、西日本は南九州以外はほとんど宿泊・観光している。コロナ下の現在ではとても考えられない。また、観光だけではなく、トライアストンや自転車レース、卒業式、引っ越し等にも多目的に使った。
最初の4年が過ぎたころ、いつも同行していた末娘が高校に上がる時期になった。子供らのリーダーが乗らなくなるのでそろそろ手放そうと思っていたが、待てよと次の妙案が浮かんだ。それは北軽井沢で買っていた土地に持っていき廃車後、宿代わりに使うものである。
ここを宿代わりにし、未踏の東・北日本をバイクか車で回ろうと考えたのである。しかし、この目的は松山からの往復日数が二日分加わるので、仕事の都合上なかなか達成していないが、その代わり長野周辺でキャンピングカーへの日帰りツーリングによい道を探し回り、バイク生活を更に楽しむために重宝している。貝は死んでも貝殻が使えたのである。次回に続く。兵頭