私は「男はつらいよ」の車寅次郎、通称寅さんの大ファンである。今だに毎週土曜日夜にBSテレ東で再再再-----放送される番組を全く飽きもせずに見ている。この放送が流れる時間帯は家族皆(そうでもないかもしれないが)これが好きなので、我が家は平和である。次男を平和(二人ともそばにいるだけで、ほっこりさせる、という意味)つながりで彼を呼ぶとき、モノマネ口調で「おぃ!寅」と呼んでいる位である。この寅さんが旅の道中で愛用しているものとほぼ同型の古い鞄を先日手に入れた。
今春、私の生まれ育った実家の古家を取り壊す事になった、その家の中にあるたくさんの家財道具を今、従妹夫婦等に手伝ってもらって処分している最中なのであるが、その中にこの鞄があったのである。それも大・中と二つ。先祖の誰が使っていたのかは分からないが、寅さんの鞄にそっくりなのだ。
しかし、埃だらけは良いとして、全面革なのでシミやムジが食ったような小さな穴がたくさん空いていたり、取っ手が外れかけていたり、第一鍵が掛かっているので中を確認も出来ない状態なのである。
私はとりあえず水道の流水で全体をサッと洗い、ゴミや埃を落としてすぐさま乾いた布で水分を拭きっとった。そして完全に乾いてからミンクオイルを刷り込み、今放置しているのだが、そのうちこの様な革製品の修理を専門でやってる所で直してもらおうと思っている。
直って来てからどうしようか。寅さんと同じく「風転」になって、うちの寅といっしょに大と中の鞄をそれぞれさげて、全国のお祭りを訪ね歩こうか。桜前線に沿って北上するのもいいな。オブジェとして飾るのだけは止めよう。やはり、つば付きの帽子と腹巻、雪駄は必需品だな。そこで、お馴染みの口上を一つ。
「わたくし、生まれも育ちも、葛飾柴又。帝釈天で産湯をつかり、姓は車、名は寅次郎。人呼んでフウテンの寅と発します。」でも、似合いすぎるかもしれません。兵頭