サウナ風呂が今ブームらしい。私のサウナブームは数年前に終わったので、何を今更と言う感じで聞き流していた。
そもそも私がサウナに凝っていたのは、簡単に体重が落ちる効果があったからである。確かに入浴前が70.0kgあったとすると、入浴後に69.3kg、そして1時間後に自宅に帰ってもう一度計ると68.5kgに減っていることが普通であった。帰宅中も温まった体からは発汗し続けておりその効果は目を見張る物があった。
しかし、この体重減少の効果は一時的なものであることも、すぐに分かった。サウナで水分が飛んだ細胞は68.5kgを計測した直後から猛烈に水分を欲し、翌朝には元の木阿弥である。むしろ胃液が薄まる負の影響のほうが大きいだろう。
なぜ、体重にこだわったかは、私の場合は体重の数値と血圧のそれが正比例の相関関係にあることであった。もちろん、血圧は多くの事が関係しているので、その相関性は完全とは言えないものの密接に関係しているのは事実である。これは何年もの私自身による臨床検査で明らかにしたことだ。だから、あの苦しいドライサウナ室に雑誌や小説を持ち込んで、薄暗い室内で少しの明りを求めて場所を選び、ひたすら活字を目に追わせ、苦しさを紛らわせた。
この努力に意味がない事が分かってからは、サウナ室には一切近寄らず、温泉からも足が遠のいていた。そして、このブームである。
ブームの中で「整う」と言うフレーズを幾度か聞いた。「心と体が静かにバランスを取り、別の境地に連れて行ってくれる。そこでは心は落ち着き満たされ、体は熱さも痛みも感じなくなり空を滑空しているように軽くなる」とそんな宗教的なイメージをその整うからは持つのである。それが味わえるのなら、もう一回始めてみようか、体重減が目的ではなくて、整うが目的で!。それに体も膝、腰、肩と痛めているのでそれらの治療を兼ねて。
それからひと月、毎週サウナ風呂に通うが、その境地は未だ未踏である。ひと月位で何をおこがましいと自分でも思うが、体と相談しながら続けていこうと思っている。確かに前回ブーム時の目的は辛かった側面もあったが、今回は心の平穏、体の癒しと活性化が目的なので、間奏としての屋外での休憩を多めに入れて、整いをめざして?。いや目指すものは無くて良いでしょう。兵頭