私の実家では只今お墓の移動手続き中である。順調にいけば年末には新しいお墓に(墓石は元のままです)お参り出来るようになる予定である。
現在の墓所は私が小さい頃に祖母に連れられて行った処ではない。元の墓所は南向きの結構きつい斜面上にあり、墓石を新しく大きい物と入れ替えるのに斜面が崩れ、下にある他人の墓石に崩れ落ちる可能性があるとの理由で近くの現在の場所に変わったと聞いている。しかし、この昔の墓所は南側が全面に開け、日当たり、風通し、眺望が最高の場所であった。
今回なぜ今の墓所を代えるかと言うとその周囲の環境の悪さが第一である。山の杉林の中に無理やり造ったような墓所だから、上から横から杉の葉や竹の葉が絶えず落ち吹き込んできて、お参りの度の掃除が大変な上、周りを高い杉の木に囲まれているので薄暗く、夕暮れから明け方に掛けての肝試しには最適な場所である事。こんな場所へ押し込むように、お寺さんもよく造ったなと不動産屋の私ですらお客様には紹介したくない物件的な立地である。
それから、今86歳の母が一人で墓を見ており今後の墓参りをする者が絶えるのではないかとの母の危ぐから、長男の私が住む松山に引っ越したら少なくとももう一世代はお墓も綺麗に、ご先祖様も寂しくない程度に子孫らが参ってくれるのではないか。現在のままでは、場所も遠いし来る度に汚れ薄暗い墓地には誰も来なくなり、この墓所の周りに散見される荒れた墓地には入りたくない、との気持ちかららしい。
移転するにあたって、松山市内の有名な霊園を数か所回ってみたが即決する程のものには出会わなかった。今回移転しようとする墓所は、たまたま通りがかりに増設の工事をしていたので、気になっていた処であった。ここの墓地情報であるが、松山の私の家に近いこと。私の日頃の運動コースにあること。それ以上に私が小さい頃によく行っていた例の風光明媚な墓所に似ていることが一番である。
そう、南向きの高台、見晴らしが良く松山の城南方面が一望出来る、車止めから近い、町営だから地代が割安、隣に今にも蛙が飛び込み水の音が聞こえそうな雰囲気のある古池があり、その更に隣が四国八十八か所の第50番札所の繁多寺が有るという贅沢な立地なのである。つまり入居するのが今から楽しみな物件なのである。
私、早ければ10年後、遅くとも30年後にはここに居ると思いますので、後の方らよろしくお願いいたします。
いや、becoming the thousand wind(千の風になって) って好きな外国に行ってるかもしれませんね。 兵頭