桜の開花宣言も各地で出始めました。私は先日、特別支援学校の高等部と小中学部の卒業式にPTA関係者として7回目(計14回目)の出席をしてきました。なぜこれだけ続けて務めたかと申しますと、学校の規模が小さくて生徒数が少なく、役員の成り手がないからで、なにも手を上げてやっている訳ではありません。ただ、最初のきっかけは、子供の状況からして周りに迷惑をおかけするであろうし、学校だけには任せておけないと言う親としての責任感からでした。しかし、子供も卒業してから早3年、という事でこの春でお役御免の予定となりました。
国歌斉唱、国旗に向かって一礼、校歌斉唱、卒業式の歌や挨拶等、卒業式では日常の仕事では味わえない学校特有の色々な事柄を経験できます。日常に慣れきった頭にはこれらがとても新鮮に感じられます。そして、この卒業式には私自身も色々思い出があります。
最初の出席時は、卒業証書授与の時に階段を登れない友達を別の子が助けてあげているのを見て涙がでました。一人が証書を貰うのに何分も掛かることもあります。そして、4年目に自分の息子の卒業式の式辞を読み上げる時、涙が溢れ嗚咽で数分間も言葉が出てきませんでした。親が死んだときもこのような感情の高ぶりは有りませんでした。
それもこれも、後は数行事のみの出席となりました。これからは後任の方にお任せして私も卒業といきます。S・H
「ああ、これこれ。」 民謡のお囃子ではありません。部品が無くて約半年ぶりに修理から帰ったクロモリ(鉄)の自転車(ロードバイク)に久しぶりに乗った時の私の第一声です。この自転車は約8年ほど前に約10万円で買ったもので、数々のトライアスロンも自転車レースもともに戦った戦友の様なものです。3年ほど前にカーボン製の自転車を買いレースで使い出しましたので、この鉄の自転車はもっぱら練習用、それもカーボンに比べて重いのと、下り坂の高速で不安定になるので平地での巡航専用車として使っていました。素材は鉄(重いと言ってもママチャリと比べるとかわいそうですが)ですので錆が至る所から発生します。もともと入門車で、特に良い部品は使っていませんので、新車時からまだ交換せずに残っているのはハンドルとフレームくらいしかありません。
カーボンは今では誰でも知ってる、鉄よりずっと強くて、重さは鉄の1/10のハイテク素材。自転車でも高級車から普及していき、今では10万円ほどのロードレーサー入門車からカーボン製があります。カーボン製の良さは、鉄に比べての話になりますが、まず軽いこと。これは自転車での最大の武器になります。そして、錆びないこと。逆に欠点は価格が高い事。計算された方向以外からの圧力に弱い事。自転車では余りないことですが、横からの衝撃には折れたりします。デザイン的に鉄のような細身のクラッシカルなラインが出せない事。メンテナンスをしても何十年もの耐久性はないこと。そして、私にとっての最大の欠点は乗り味が硬い事です。短時間のレースならよいのですが、日々乗ったり、長時間乗ったりすると、特に腰に不安が有る私などは乗るか降りるかの問題になります。半年間カーボンばかり乗っていた私の体が、久しぶりに味わう鉄の乗り心地の良さが、冒頭の「」内の言葉になりました。
この様な鉄とカーボンの関係は、なにも自転車に限らず日常の至る所にあります。従来の技術に対してある一つの目的を達成するために画期的な別の技術が開発されると、その目的に関係ない人達もあたかも万能の技術が開発されたとその新技術に飛びつきますが、時間が経つとそれは自分には関係なかったと、前の技術を振り返るというものです。開発者もそうですが、利用者も正に試行錯誤で自分に最適なもの、心地のよいものを探し求め、探し当てる為に日々生きているという側面はあると思います。S・H