今年ほど山の樹々の紅葉・黄葉を気にかけて観た年はない。
今日現在の松山地方は本格的な寒さに成って来たが、低山の紅葉や黄葉はまだ多く樹に留まり、最後の見せ場を作っている。先週、私は日本列島を車で北上したのであるが、その道すがら中国地方の樹ではやっとこさ枯れ葉が木にくっ付いて風に煽られている様子、さらに上信越地方では灰色の枝々だけが曇り空の中に張っている様子で、所によって白い綿帽子を乗せたりもしていた。
南北に長い日本列島では、春の桜前線の様な華やかさや儚さ、それに付いての細かな報道も無く、一般的な高揚感も薄い紅葉や黄葉前線であるが、それは観る物に名作映達画のエンディングの様なちょっとした感動を、NHK「紅白歌合戦」から続く「行く年来る年」の様なちょっとした寂しさと冬に耐える力強さ、生きる勇気をくれた。そしてなぜか最近はこれらに親近感も加わったりする。
さて、信州まで足を伸ばした私達夫婦は、当然持参したスキー道具で半日ほど白馬八方尾根で今シーズンの初すべりにトライ。まだシーズンが始まったばかりで広い全コースは全て真っ白に冠雪していたが、滑走可能な点検・整備をしているコースは1/3程であった。コースが狭いのではと、初めは滑ろうか止めようかと少しは迷ったが、せっかく道具まで持ってきたのだからと、滑ることにした。やはりそれは大正解だった。広大なこのスキー場はまだ来場者も少なく、滑走可能コースも縦長く取ってあったので、かなりのロングランが可能だった事。それにスキー場の上部はサラサラのパウダースノーを堪能出来たからである。
リフトに同上したスキー歴一ケ月の英国人の18歳の男の子は、「こんな雪はヨーロッパには降らない(本当にヨーロッパアルプスにも無いのだろうか?今度調べてみよう)」、と言っていた。また、視界の下に広がる一面の樹々の枝に積もる綿帽子の海を見て「 beautiful!」と言ったのを聞いて、西洋人もこんな白黒のワビサビの様な世界が理解できるのかと思ったりもしたのだが、これらを聞くのは止めた。出身地、北海道の事、休暇の長さ、好きなアルコール類、スキー歴等の会話でリフト上の時間をつぶしていたが、まだチョット会話を深める英語は出来ないだろうからである。
松山地方も1週間ほど前から急に寒くなり、気温も朝晩は一桁台である。やっと待ち望んだ冬になった。冬の楽しみは初雪も未だだが、まずスキーである。今シーズンは何処へ行こうか、楽しみである。タイヤもそろそろスタッドレスに替えておかねば。
それから、露天風呂。雪の露天風呂なんて最高である。いつも行く木乃香温泉で、タイミングが良ければ楽しめる。ここでもスタッドレスタイヤは必需品である。
屋内で楽しめるものでは、薪ストーブである。これは単なる暖房手段ではなく、私にとっては作業過程から全てが娯楽である。一昨年・去年と2トントラック2台分の大木を切り、ストーブに入る長さに切りそろえ、斧で縦割りにして小屋に入れ外気で自然乾燥させる。1年ものは小さなカットのものを燃やし、2年物は大きなカットでもよく乾燥しているから持ちが良くかつよく燃える。家に居ながらその生木だったころのストーリーに思いを馳せ、かつ森の中でキャンプをしている様な錯覚をくれる。太古から受け継いだ私のDNAも活気立つだろう。 巷では、燃料・電気代高騰、二酸化炭素の排出制限、冬の暖房にも政治がらみの複雑な模様が見え隠れするが、そんな記事を載せた新聞を丸めて炎の中へ投げ込み、酒を飲るのは沁みるなぁ。
もちろん、冬でもバイクは外せない。長時間は体が真から冷えてダメだが、短時間ならキィーと冷めた早朝の大気を相棒と切り裂き、目覚めかけた頭と体を一瞬で醒ましてくれるライディングが出来るのもこの季節だけのものだ。兵頭
今朝の気温は6℃、この冬一番の寒さだった。しかし、私のペダルを踏む足は軽く、気分は爽快だった。
今日はカタール・サッカーワールドカップの一次リーグ最終戦のVS.スペイン戦。勝てばサドンデス方式のベスト16に進む事が出来る。引き分けでも同時刻にスタートするドイツVS.エクアドルのスコアー次第でそのステージに進む事が出来るという、日本サッカー界にとって運命の日である。部外者で特にファンでもない私もつい気になって早朝4時から終わりまで2時間観てしまった。早朝どころか夜のゴールデンタイムでも最初5分位しか、観たことが無い代表サッカーの試合であるが、もしかしてとの期待から観始めたのである。
内容的には前半は退屈な試合で、W杯でなければチャンネルを変えるかTVの前を立つのであがが、先日のVS.ドイツ戦の事もあるので、アベマTVの本田元日本代表の軽妙で的を突いた解説に引きずられ、後半も観始めた途端に2点を取って逆転し、そのまま終了しベスト16に駒を進めた。
オリンピックでも野球でもサッカーでも、通でない人がJAPANの試合になるとテンションが上がるのは、日本の北から南まで一体感を感じられるからだろう。いいか悪いかは別にしてスポーツだけが持つ力だと思う。いつもは、「スポーツは観るものではなくて、やるものだ。」主義を主張することの多い私も、今日ばかりはテンションが上がって、朝錬はさらにテンションが上がる自転車にしたのである。負けてたら多分山へ黙々登っていただろう。兵頭