去年のこの日記で数度、英語の事を取り上げた。その英語学習を始めて今月で丸1年を過ぎた。そして、教材としていた「アルケミスト(錬金術師)」を読み終えた。
この本は、生きる上での示唆に富む内容で、スペインの羊飼いの少年の宝探しと内面の成長の両面での旅を、アフリカ北部の砂漠を舞台に描かれた世界的に読まれている物語である。
私は日本語版の文庫本でまず読んでいたので、英語版(原語はスペイン語だと思う)でも違和感なくストーリーに入り込めたのだが、190ページを1年かかった。この間に、(一時的にでも、しかし大半忘れたが)暗記した文章は700、これはアイフォンに自分の声で録音して、ネイティブ発音に変換して聞きながら覚えた。不明単語は800のうち覚えたのは500語程度(これは今でも大丈夫だろう)である。これも5回10回と繰り返して覚えた。脳の記憶を司る海馬が衰えているので、中々記憶できないが、反面粘りは増してきているので、それで多少補っている感じだ。(忘却と言うロシア軍の攻勢に粘りのウクライナ軍が反撃しているのに似ている)
特に重視したのは、ヒヤリングと単語力である。文法はたくさんの文章を読んでいるうちに、自ずと理解でき出したようである。単語力は今述べたようなことだが、まだまだ足りない。ヒヤリングは文章に直して1行、頑張って2行程度なら何とかネイティブ発音でも付いていけるが、3行以上とか、知らない単語が2つ3つ入ったり、関係代名詞が2つ以上入ると、頭の中で小さな爆発が起きて今自分が何処にいるか分からなくなってしまう。
こんな現状であるが、1年間の学習は楽しかった。まず、文章自体が素晴らしく飽きがこないことが前提であるが、知らないことを知ること、出来ない事が出来る事はそれ自体が楽しい事である。ましてや、世界の重要な情報の95%、私にとっての重要な情報の50%(大変多いという意味で)が英語で発信されていることを考えると、英語技術のスキルアップは避けては通れないであろう。翻訳だのを通すと純度、鮮度、正確度は落ちて詰まらないものになることは、例え話に直さなくても明確である。
中国のことわざ「少年老い易く学成り難し」は小さい子に向けてもっと勉強したほうがいいよ、すぐ年取るからと言う昔の私に送りたい言葉であるが、今の私にピッタリなのはロシアのことわざ「ウリータ(少女の名前)は行った、いつかは着くだろう」である。
1年は終わったが、感想を言えばもっと深く関わって行きたい、そんな気持ちである。
私が日課として運動を始めたのが40歳代後半からで、それから15年程経つ。高校卒業以来の遊びではない運動であり、初めは自転車とランニングから、それに水泳を加えたらトライアスロンになるな、と数年後から水泳を始めた。水泳は子供のころは県でトップレベルだったので自信はあった。それからしばらくトライアスロンとロードバイクの競技会での好成績を目標に練習を励んだ。マラソンを走ったのもそのころである。それが50歳代前半から後半までの5~6年間である。
50歳代後半に軽い脳梗塞(後に病名が突発性全健忘に訂正される)になり、そのことがきっかけで無理が掛かる競技会への参加は止めた。それまでは早朝あるいは夕方この3つの運動のどれかを全力でやっても翌朝には疲労も全て取れていた。競技会出場の為の目標意識とランニングハイ、スイミングハイ、ロードバイクハイでの高揚感が疲れも忘れさせる好循環を生んでいた。
そして競技会を離れ、それほどの負荷を掛けずに3種を続けながら、新たに近くの小山への登山を加えた。それは息抜き程度のものととらえ、プールが休みで風が強く雨模様(ランニングと自転車困難)の場合にカッパを着て山に登った。それでもメインの3種に比べ気易かった。森の木々の下、岩や落ち葉の上を歩くことは気分転換にもなったのだと思う。
それから、ウォーキングを加えた。ケガ人か後期高齢者でもあるまいし、山登りは未だしもウォーキングを運動とするのは抵抗があったのだが。
しかし、競技会も止め60歳を超えた辺りから前日の運動の疲れが翌朝も取れない日が出て来るようになった。そのころ、過労も高血圧の原因の一つであることも知り、無理に強度を上げた3種の運動に固執せず、山登りやウォーキングを増やしたり、冬はスキーを加えたりして気分転換を図りながら何らかの運動は現在続けている。
今朝はロードバイクでいつもの重信川コースを走った。このコースは10年前の競技会へ出ているころは52分くらいで家まで往復できたのだが、今朝は68分掛かった。強く踏んでも60分は切れないだろう。これが現状である。
しかし、早春の朝の冷たい風を切って、正面から昇る太陽に目を凝らしながら全力でペダルを漕ぐと、今でも「光の国」を見ることが出来る。ロードバイクハイと言うのだろうか、その全能感、無敵感、肯定感がこのレベルでも感じられるのである。競技性は無くても、これが一番の運動を続けていける理由である。兵頭